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みつばち社会~女王蜂④卵を産む〜

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さて、今回は女王蜂の重要な仕事「産卵」について見ていきましょう。

前回のコラムで、女王は自身の分泌するフェロモンによって、
群れの他の雌蜂である働き蜂の生殖や産卵を抑制し、
働き蜂としての労働を促すことについて少し触れました。
みつばち社会では基本的に女王だけが卵を産み、群れを大きくする仕事に従事します。

一体どれくらい産んでるの?

女王蜂は、巣房1つにつき1つの卵をせっせと産んでいきます。
その数、1日1000個から2000個。
大きさは約5.5mm、体重に等しい重量の卵を1分間に1〜2個産み続けているという。
人間でいえば1日20人の子供を一夏中産み続けるようなものだそうな。ううむ。

みつばちの卵

見事なハニカム構造と卵

巣房のサイズが産み分けを決める

毎日たくさん産みつけられ、育児係に世話され育っていくみつばちたち。
その大半は働き蜂=メス。
そして生殖のみを担うオスの蜂は群れに10%程度。
この産み分けはどのようにして行われているのかというと、
体(貯精嚢)に蓄えた精子を使うか、使わないかの調整によって行われるのです。
みつばちは、精子を使わない無精卵ではオスが生まれ、有精卵ではメスが生まれる。
そして精子を使う・使わないというのは巣房のサイズによってコントロールされている。
小さめサイズの巣房(約4.7mm)には、女王蜂が腰を曲げるようにして産みつけ、
大きめサイズの巣房(約5.4mm)には、腰を曲げることなく産みつける。
この、小さな巣房=腰を曲げた方には有精卵(メス)、大きな巣房には無精卵(オス)が生まれることになる。

オスの方が体が大きいため、羽化前の上蓋も膨らんでいる。上蓋が平たい方がメスの巣房。

お付きの者たちによる産卵補助

巣房のサイズによって、産みつける卵の精子の有無が変わり、性別が変わる日本みつばち。
その群れの成員を決定する重要なポイントは巣房のサイズ、
そしてそれを作る作業に従事しているのは働き蜂というわけで、
じわじわと「女王といっても結局のところ、働き蜂にコントロールされておるのでは…」という感じがしているのは私だけではないのでは。
さて、生殖のための飛行の際、お付きの者たちに付き添われていた女王蜂ですが、
巣房に産みつける際にも世話係の働き蜂たちが活躍します。
女王は産卵時、巣房に下半身の先端を差し入れます。
その際、お付きの働き蜂たちは、女王が巣房へと正確に差し入れることができるように、サポートするのです。

「オーライ、オーライ!ストーップ!」という感じか?(Jurgen、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』p144を参考に作成)

サポートというと聞こえは良いけれど、
働き蜂に管理されていると言えなくもないような気も。

Jurgen(2010)には、

もし小さな直径の巣房にあたれば雌の個体に育つ受精卵を生み,もし大きな直径の巣房を見つけると雄蜂に育つ未受精卵を産む.数少ない精子の卵への接近を許すか,これを妨げるか調整できる女王バチの正規の仕組みは非常に精度が高いに違いない.しかし,子孫の性を決定しているのは女王バチではなく,それに対する決定は集団が行っている.女王バチは単なる実行器官である.

なんて言われたりしています。

卵巣の数が少ない日本みつばちの女王

日本みつばちの女王蜂の卵巣小菅数(左右に存在する卵巣の合計)は約135本、
一方セイヨウミツバチの女王蜂は約275本。
なんと倍近くの開きがあるわけですね。
この卵巣の数は、産卵数の多さを示しており、
日本みつばちよりもセイヨウミツバチの女王バチの方が産卵数が多いことを示しているのだそう。
また、群れのサイズの違いも、これに起因していると考えられているそうですよ。

ということで

今回は女王蜂の産卵について見ていきました。
生涯せっせと卵を産み続ける女王蜂に、フォローするお付きの働き蜂。
生殖の際にも感じましたが、女王蜂とお供の蜂たちの関係はなんだかとっても人間臭い。
もちろん人とはいろいろ違うんだけど、
一族の繁栄のためにトップ(女王)も補佐役(お付きの働き蜂)も一生懸命なところを見ているとなんだかドラマを感じてしまう筆者なのでした。

参考文献
吉田忠晴、2000、『ニホンミツバチの飼育法と生態』、玉川大学出版部
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

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