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Column -コラム-

甘いもの好きのみつばち〜みつばちの味覚〜

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甘い花の蜜を蓄えて、あま〜い蜂蜜を作るみつばちたち。
蜂蜜は、花粉と並んで栄養豊富で、日々のエネルギー源や冬の蓄えとしてみつばちたちにとって大切な食料。
「ちょっと分けてね。」なんて、彼女らの巣から少しもらって美味しくいただいている中で、何気なく、みつばちは甘党なのかな…なんて思いを馳せるものの、みつばちに味覚なんてあるのでしょうか?

基本的に甘いものならなんでも好き

日中、巣から半径1〜2㎞を飛び回っては蜜源を探し、蜜を集めてくる働き蜂たち。
季節ごとに咲く様々な花からせっせと集めて貯蔵していく働きものです。
そんな彼女らは、実は花に限らず甘いものなら何でも好きで、花蜜同様に蜜胃に貯めて巣まで持ち帰り、しっかりと貯蔵していくのです。

例えば、冬場に作られる干し柿。

軒先でこんな風に吊るされてますよね(画像:wikipediaより引用)

渋い渋柿の皮をむいて、さっと茹で、紐にくくって吊るしておくと冬のカラリと乾いた風で乾燥・熟成して、しっとり甘〜いおやつになります。
そんな干し柿、干している隙に鳥につつかれたりして傷がつくと、そこから中の甘いエキスがじわりと染みてきます。
そこに通りかかったみつばちが「あ!甘いものがあるぞ!」とせっせと集めて巣に持ち帰る、なんてこともあるのだとか。
うーむ、これは干し柿を作って観察してみたいところ。
寒くなってきた頃に、ひょっこりみつばちが訪れてくれたら嬉しいだろうなぁ。

そんな甘いもの好きのみつばち、甘いものを出してくれるなら相手が虫だって構いません。
甘露蜜、という言葉を聞いたことがある人も少なくないのではないかと思います。
その甘露蜜、蜜源となっているのは花ではなく樹木。
ドイツでは最高級品として大変好まれているという、モミの木など樹木由来の特別な蜂蜜が甘露蜜。

モミの木。クリスマスツリーに使われる木、というと分かりやすいのかな。針葉樹林のある標高の高い場所で甘露蜜は作られる。

樹木の精油を含むため、独特の香りがあり、ミネラル豊富で濃い色味が特徴的。
でも、みつばちが直に樹木から樹液を啜ったりはできません。
松やブナ、樫の木などの甘い樹液を出す木に、アブラムシやカイガラムシ、アリマキ、カメムシの仲間などの虫が、樹皮に口針を刺し、その甘い樹液を吸います。

モミの木の樹皮(wikipediaより引用)

樹液は糖度が高く、虫たちが必要な栄養分を吸収しても、大量の糖が余ります。
残った糖は、体外に分泌され、カイガラムシであれば分泌物が結晶化して貝殻状の被覆物になります。
また、アブラムシやアリマキは甘い分泌物を体から出して生きていくことで、甘い分泌物を欲しがるアリが寄り付くことで、彼らの天敵から身を守ることにもつながっているのです。
そして、そんな彼らが分泌する甘いものをみつばちも狙います。
花の蜜に限らず、甘いものが大好きなみつばちにとって、分泌物も貴重な蜜源の一つです。

本能的行動系に結び付けられている甘味

蜂蜜は、果糖とブドウ糖からできていて、その香りに加え、甘味がなんとも言えぬ幸せな気持ちにさせてくれる。甘いと感じるものは、みつばちや人を含める多くの生き物にとって、生きる上でプラスに働く。よく言われることだけど、ブドウ糖は腸での消化吸収が非常によく、体を回復させたいときに、優しく素早く効く。
そう、ブドウ糖を摂取した際、甘味を認識し好ましく感じられるようにできているのは、生き物として理にかなっていると言えるわけです。
「人を含め多くの動物では甘味の感覚が脳の神経系の中で、生きていくためにプラスに働くシステム、つまり本能的行動系に結び付けられている。」(尼川,2013)ということですね。

そんな蜂蜜の成分はこちら
糖類(ブドウ糖、果糖)、水分、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラル、有機酸(グルコン酸)、ビタミンB

生存に必要な物は、ちゃんと生物が好ましく感じる(積極的に摂取したくなる)ようになっているのだなぁ

花蜜を選ぶポイントは甘さ

花は香りや見た目の華やかさ、蜜の甘さなど、花ごとに様々な違いがある。
見た目は地味でも香りが強い花や、見た目も香りも華やかだが蜜は薄い、というものなど色々な場合がある。
人間なら「甘さ控えめで香りにクセのあるのが好き」とか
「香りものは苦手だけど、甘さしっかりで見た目が華やかなのがテンション上がる〜」とか
色々と好みが分かれそうなところだけど、
みつばちたちは「しっかり甘い」というのが第一、何より甘さ重視、ということらしい。
研究者たちの実験では、良い餌を見つけた偵察隊のみつばちが「こんな素晴らしい蜜源を見つけたよー!」と仲間たちに8の字ダンスで報告する際、糖度が高く量も多い蜜源を見つけているものほど、ダンスの勢いもターン数も多い、激しいダンスになることが明らかにされているのだという。

派手なルックスのアザミと・・・

大人しい印象のシロツメクサ。どっちが好きなの?って聞かれたら、蜜が甘い方というわけだね。

ちなみに・・・
野外実験で、蜜源としての造花に色々な糖度のショ糖を置き、観察したところ、糖度が上がるにつれてターン数も増加したという報告があるという。
また、その際に同条件で距離を変えて観察すると、遠い蜜源の方がダンス時のターン数が減少していたという。これは、蜜源までの「運搬コスト」を考慮して報告されているのではないかと分析されているそう。

 

みつばち=甘党

というわけで、今回は甘いものに目がないみつばちの姿が見えてきました。
しかし、いくら甘い物万歳と入っても運搬する際の労力についても大事だと考えて、8の字ダンスでの報告時に運搬コストにも考慮したアピールが行われているというのはちょっとビックリでした。賢いよ、みつばち。小指の先ほどしかないのに、そんなことまで考慮できるのかと驚くばかりです。

 

なお、文中において参考文献に孫引きが多分に含まれていたりしますが、コラムということでお許しください。

参考文献及びWebサイト
・尼川タイサク、2013、『マキノの庭のミツバチの国』西日本出版社
・坂本文夫、2016、『ハチ博士のミツバチコラム』京都ニホンミツバチ研究所
・イタリア発ハチミツ作り 養蜂の世界と日本の田舎暮らし https://ameblo.jp/buonmiele/entry-11978539020.html
・あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木 http://ochakai-akasaka.com/170310-honeydew-honey/

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