かきものCOLUMN

淡路島の中でも広がっているアカリンダニ症

  • 2020.03.26
  • by Yukio

「蜂が減った。農作業しているときに蜂を見なくなった。」
「庭に蜂が来なくなった」

最近、地元の人たちからよく話を聞きます。

この蜂とは日本みつばちのこと。

 

ここ数年で淡路島内の蜜蜂を取り巻く環境がおおきく変化しました。
3年前、2017年の春、淡路島の南、諭鶴羽山系で蜂を飼っていた父親の群れがほぼ全滅しました。

はちみつがたっぷりと残ったまま、蜂がいないという巣箱がたくさん。当時、検査には出していませんが、徘徊蜂がいたり、巣の周辺で落ちている蜜蜂もいて、おそらく、アカリンダニ症だったのでしょう。

当時、きれいな巣を残したまま、たっぷり蜂蜜が詰まった巣箱を整理するのはとても辛く、日本みつばちをやりたいという思いで淡路島に来た私たちにとって、淡路島に来てちょうど1年たった春に、その望みを失ったことに、絶望しました。

 

そのころから養蜂をしている様々な人からも
「みつばちがいなくなった」

という話をよく聞くようになりました。
ただ、その頃は、まだ被害は主に南部だけであり、淡路島の北部で養蜂をしている友人などは、特に問題がない様子でした。

「淡路島でもアカリンダニでたみたいだね」
というような話もまだ、被害の少ないみなさんにとっては、他人事だったのかもしれません。

そして、この冬を越えて、春を迎え、洲本市での知人が壊滅的になりました。
確実に感染エリアは広がっています。

 

スズメバチ、スムシ、農薬、気候変動など原因は複合的なものであるとは思いますが、1番の原因は淡路島内にもアカリンダニの寄生が広がっていったことだと考えられます。

 

アカリンダニ症とは
ニホンミツバチでは、2010年に初めて寄生が確認されたダニで、ミツバチの気管に寄生し、群れ全体で寄生が広がり、衰弱蜂や死亡などが増えて、感染した群れの多くは越冬できず、死滅してしまうという症状です。

現在、日本各地のニホンミツバチでこのアカリンダニが広がっており、蜂の行動距離(半径2~3km)などを考えた場合、自然に広がったとは考えられにくく、蜂場間の移動、移譲や売買、遠隔地での捕獲など人為的拡大(人が運んでいった結果広がった)が原因だという言われています※。
(※2016年開催 第4回ニホンミツバチ養蜂研究会 前田太郎氏(農研機構)講演にて)
守ろう!ニホンミツバチプロジェクト:https://www.savebeeproject.net/

 

 

おそらく、淡路島中でこのアカリンダニ症が蔓延しているでしょう。

これはあくまで私の憶測ですが、

海に面した淡路島、おそらく、島外で入手した蜂入り(アカリンダニ寄生)巣箱を持ちこんだ人がいたのだと思います。持ち込んだ人は無自覚であったと思います。アカリンダニは、みつばちの気管に感染するとても小さなダニで、目視では確認できません。ダニに寄生されているのかということはわかりません。

それが、淡路島の南、諭鶴羽山系から広がっていき、島内でも、巣箱を移動させるなどで島内全域に広がっていったのだと考えます。私は人災であると考えます。

たくさん蜂を飼っている方の中には、近親交配を避けることや、新しい蜜源に巣箱置くなどの理由で、蜂を移動させる方がいます。

 

それは、知らず知らずのうちに、ダニ感染を拡大しているのです。そう、今回のコロナウィルスと同じ現象です。いつのまにか被害者が加害者になり、無意識のままに、拡散してしまっている。

第4回ニホンミツバチ養蜂研究会で、
アカリンダニ感染について講演をした前田太郎氏(農研機構)は

・群れの移動や売買は慎重に。
・自分のところで獲って、自分のところで楽しむ。

というように言われました。

 

それでも、最近では、全国的にFacebookのニホンミツバチのページなどでも、蜂入りの巣箱を知り合いから分けていただきました。などの投稿があります。

自分の管理下、自分の手の届く範囲に蜂を置きたい、それをSNSにアップしたい、という欲によって、目に見えないダニ寄生が広がっていくという状況。

 

そして、ここ数年で、アカリンダニ感染に関する研究もされ、対処療法が考えられています。
「ニホンミツバチ アカリンダニ対策」などで検索すれば、たくさん方法は出てきます。
ただし、元々ミツバチを研究している機関が少ないうえ、野生の生き物である日本みつばちを研究している機関はわずかです。

 

では、対策をすればいいのではないか。
対処すれば済む問題なのではないか。

対処すれば生き延びることができるんだからという理由で、感染の有無にかかわらず、対処すれば蜂を運んでもいいじゃないかと。と、言う人もいるかもしれません。

それは、自分のことしか考えていない、とても悪質なことであると私個人としては考えます。
自分たちが飼っている蜜蜂は対処療法として、守ることはできるかもしません。
ただ、自然界にいるはずの日本みつばちにアカリンダニが感染し、感染エリアが広がっていく、ミツバチが越冬できず減っていく。日本みつばちは野生で自然の中に生息しているため、自然界では、どれだけ影響が出ているのかということはわからないそうです。

 

 

蜂を飼いたい、蜂蜜を手に入れたい、という欲で手段を択ばすに、ミツバチを入手したり、人工的に増やした結果、ダニを拡散させた。次に、自分たちの蜂だけは守ろうと考えるのは、欲深き人のエゴではないかとも思います。

ただ、それでももし、ミツバチにアカリンダニが感染していたら、何もしなければ蜂の群れは死滅する。このジレンマにいつも直面します。

 

今後、日本みつばちがたくさんいた淡路島でも、どんどんみつばちが減っていくことになると思います。もしかしたら、とても貴重な存在になる可能性もあります。

 

毎年、この分蜂前の巣箱準備をしていると、あの悲しい出来事を思い出します。
それと同時に、今、作っている巣箱、ミツバチたちに気に入ってもらい、巣箱に入ってもらえたらいいなって、また、たくさん増えてほしいなと願うのです。