「純粋はちみつ」「PureHoney」が多い理由は

スーパーなどで蜂蜜コーナーを目にしたことはあるでしょうか?

ちょっと立ち止まって、様々なはちみつを手に取ってみてください。

純粋はちみつ

一番よく見るのがこれ

純粋はちみつ

こんなものもあります

見ての通り、ほとんどのものに「純粋はちみつ」や「PureHoney」という名前です。 

今回は、なんで「純粋はちみつ」「PureHoney」なのかということを少し詳しく書いてみます。

 

その理由は、そういう決まりだから。

はい、これまで何度か出てきた「はちみつ類の表示に関する公正協議規約」にはこのように書いています。

純粋とPure

この規約によりますと、「純粋」、「天然」、「生」、「完熟」、「ピュア」、「ナチュラル」、「Pure」、「Natural」などの言葉は、「純粋」もしくは「Pure」に統一しなさい。他の言葉は使っちゃいけません。ということなのです。

ある本には、消費者がまぎらわしくないように、業界団体で「純粋」「Pure」に統一したということも記載されていました。(←ちょっと怪しいぞ…)

 

購入するときによくわからない

だたこれ、購入する人にとって優しくない。
スーパーで様々な蜂蜜を手に取ってみてもパッケージがほとんど同じで、表示ラベルを見ても同じ。(ラベル表示についてのルールはこちらのコラムを参照)
純粋はちみつ

「違いがわからない、何を選んだらいいのかわからない。」

「なんとなく、パッケージでこっちを選ぼう。」

「こっちの国よりこっちの国の方がなんとなく安心」

っていうことも。

消費者にやさしいということで決めたルールが実はわかりにくいっていうことも。
というか、消費者目線ではないような気もしますね…。

そして、問題なのは

混ぜ物の入っていないはちみつであれば、すべて、「純粋」や「Pure」と名乗ることができるのです。生産地も、製造方法も。その過程も決まりはありません。

例えば、

海外で詰められたものも「純粋はちみつ」

「中国産」のはちみつと「アルゼンチン産」のはちみつが混ざっていても「純粋はちみつ」

水分量が多いままのはちみつを採蜜して、加熱処理をして、水分を飛ばしてできたはちみつも「純粋はちみつ」

日本国内で採れたはちみつも「純粋はちみつ」
(ただし、日本だけの場合は、「国産純粋はちみつ」)

「純粋」って何なんだと思いますね。

純粋はちみつ

左が中国産のはちみつ 100gで100円 これも「純粋はちみつ」
右がカナダ産の「純粋クローバーはちみつ」 これも「純粋」って書いてます。

 

ということで、やっぱり業界ルールなのです

大きな会社さんの販売している蜂蜜は、ほぼすべてが「純粋はちみつ」や「PureHoney」という名前なのです。

ただ、このルール、前回もお伝えしたように、従う必要はないです。
そのため、「生はちみつ」や「完熟はちみつ」などという名前で販売しても問題はないのです。

 

蜂蜜って何?~日本の蜂蜜には規格がある②~

前回の続きで、日本のはちみつの規格について

“巣はちみつ”と”巣はちみつ入りはちみつ”

前回も登場した「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」によると、

蜂蜜規格(©)

巣はちみつ
「新しく作られて幼虫のいない巣房にみつばちによって貯えられたはちみつで、巣全体又は一部を封入したまま販売されるもの」ということで。
「コムハニー」「巣蜜」という品名で売られているものがこれ。はちの巣の中にはちみつがきれいに入った状態のものを、丁寧に箱詰めしたものですね。

巣蜜

 

巣はちみつ入りはちみつ(←何度も言うと噛みそうになります)
「はちみつに巣はちみつを加えたもの」ということです。
「巣入りはちみつ」という品名で販売されていることが多く、その名の通り、はちみつビンの中にこの巣はちみつをカットしたものが入っています。
(写真はありません)

 

わたしたち草地家も、この「巣はちみつ」や「巣入りはちみつ」も一部販売できたらいいなと思っているので、保健所にどういう扱いになるのかを確認してみます。はちみつそのままなので、販売できると思っているんですが、どうなったかということはブログなどでご報告します。

あれ、名前が違うんですが。

「巣蜜」「コムハニー」「巣入りはちみつ」など、販売されているものは規約で定められている品名(「巣はちみつ」「巣はちみつ入りはちみつ」)と違っていることもあります。

その理由は、前回もお伝えしたように、この規約は「全国はちみつ公正取引協議会」という業界団体が自主的に設定した業界のルール(公正競争規約)であり、必ずしもその協議会に所属する必要はなく、従ったりする必要はないからです。

ちなみに岡山に本社がある有名な山田養蜂場はこの協議会にには属しておりません。理由はこんな感じです。
“あくまで「はちみつ」の品質を追求する私たちの厳格な品質基準と、広く一般的な意味ではちみつを定義する協議会の基準の間に相違があるためです。”(引用:山田養蜂場HP

なので、いろんな名称で販売されています。

では、ラベル表示にはどんなことが??

法律的な決まりはありませんが、公正競争規約に細かな表示方法が示されています。ただ、内容がちょっと細かいので、それをわかりやすくしたものが消費者庁のホームページにありますので、今回はそちらを参照。内容はほぼ同じ。

蜂蜜ラベル表示について

(引用:消費者庁HP

内容で気になるところに線を引いてみました。業界に属していない場合はどうしたらいいのかということ。

以前、うちの父親が保健所から指導を受けたときは、有無を言わさず、「この表示の通りにしなさい」「他の表記をしてはいけません」ということだったそうで、この通りにしないといけないんだと思います。(疑問視が残るところもありますが、そういうものなのだということで。)

ちなみに、また別の業界団体ですが、「一般社団法人日本養蜂協会」という組織があり、そこにも蜂蜜の規格があり、表示方法も決まっています。表示内容は上記のモノとほぼ同様の表示です。(もし、関心がありましたら、WEBサイトはこちら

(ただ、この「一般社団法人日本養蜂協会」の規約とこれまで出てきた公正競争規約(はちみつ類の表示に関する公正競争規約)では蜂蜜の規格の中で水分量が少し違います。なぜ違うのかはわかりませんが、どう違うのかはまた今度)

というか、なぜ同じような業界団体があって、なぜ規格が違うのか、全然わかりません!!!

ラベル表示からはわかることはこれだけ

蜂蜜ラベル表示について2

(ちなみに草地家のはちみつは図の左上のように書いてます。)

間違い探しみたいですが、わかることは名称が「はちみつ」なのか「加糖はちみつ」なのかということ。原材料が「はちみつ」だけなのかそれ以外のモノ入っているのかということ。
これ以上ことはわからないということです。なので、一応、原材料に「はちみつ」としか書いていない場合は、はちみつ以外のものは入っていないということです。

スーパーで売っているお安い蜂蜜も百貨店やはちみつ専門店で売っているちょっと高価な蜂蜜も、表示方法が違うにしても、内容はほぼすべてがこの通りです。
お店ではちみつのラベルを見てみてください。ほぼすべて同じです

そのため、何がよいとか、どう違うとか。ラベルを見ても全然わからないのです。
パッケージの情報を信じて、判断するくらいしか方法がありません。

ちなみに、「はちみつ」は「「はちみつ」には、精製はちみつ又はローヤルゼリー、花粉、香料、果汁若しくはビタミンを加えたものを含むものとする。」という記載もありました。
これについては、品名に「○○添加」と表記することだそうです。なので、何か含まれている場合は、しっかりと記載されているそうです

ということで、どうやって選べばいいの?

はちみつのラベル表示からは、
何を信じたらいいのかがわからないということがわかったと思います。
(ほかの食品と同様に表示のルールということです。)

正直、たくさんの種類がある中で、パッと見てどれがいいとかわかりません。
中国、カナダ、ハンガリー、アルゼンチン、ニュージーランドなど、いろんな国のはちみつがあります。どこの国ものを選ぶか、どの花のはちみつを選ぶかってほんと、好みかなって思います。

どれを選べばいいのかっていうので、一番いいのは、試食できるお店などで試食をして、自分に合うはちみつを購入すること。好みは、ひとそれぞれ好みが違いますからね。お店の人に教えてもらうっていうのも有効な手段。
あとは、やっぱり、信頼できる生産者や会社が販売しているものを直接購入すること。ほかの食べ物と同じですね。

スーパーや普通のお店では試食したり、話を聞いたりすることはできません。
なので、買ってみるしかなく、「当たり」や「はずれ」の可能性もあります。いろいろ試して購入していき、自分に合うものを探していくっていうのもいいかもしれません。なんとなく海外の蜂蜜は不安って思う人は、国産のはちみつを買ってみるのもよいとは思います。ただ、先ほどから書いているように、表示はすべて同じなので、パッケージからしか選ぶことができません。

ただ、やっぱり安すぎるはちみつはあまりおススメできません。
ツンとした匂いがしたり、味が美味しくなかったり。そんなこともあります。一口食べてみて、「このはちみつ、美味しい!!」って感じるのではなく、「はちみつってだいたいはこういう味だよね~」という感想で終わってしまうことも。はちみつを単なる甘味料として考えるのであれば、それでもいいかもしれませんが、それではもったいない。

あと、輸入物の安い蜂蜜は、蜂蜜100%でも、みつばちたちが集めてきた蜜が「はちみつ」になるまでの過程で、人工的なこと行われている可能性があるなど、いろいろと問題になっているようです。(それについてもまたいつかコラムで)

 

ということで、次回

この話をもう少し引っ張ります。

スーパーなどではちみつを見ていると「純粋」「Pure」っていう表記があると思いますが、それはなぜだろうか。あと、はちみつシロップのこととか。書いていこうかなと考え中。

ということで、今回は盛りだくさんでお届けしました。

ゆきお

蜂蜜って何?~日本の蜂蜜には規格がある①~

 

前回のコラムでは、みつばちたちが持ち帰った花の蜜がはちみつになるまでということで、はちが作る「はちみつ」について書きました。そして、今回は私たち「人」が「はちみつ」と呼んでいるものは何なのかということを書いていこうと思います。

イベントではちみつを販売しているときに
「海外の安い蜂蜜は、水あめとかのはちみつ以外のものが入っているんじゃないの?」
という話もよく耳にしました。

はちみつを買いたいと思ったときに、そういう疑問を持ったり、不安に思った時があるのでは。とお思いまして少し長くなりますが、読んでみてください。

日本の「はちみつ」の規格は?

アカシア蜂蜜やレンゲ蜂蜜、そば蜂蜜、菩提樹の蜂蜜、百花蜜など。花の蜜で様々な種類の蜂蜜があるのはご存知だとは思いますが、蜂蜜そのものに規格があることはご存知でしょうか?

難しいのですが、日本では、「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」というルールがあります。そして、このルールは、「全国はちみつ公正取引協議会」という業界団体が公正取引委員会による認定の下、自主的に設定した業界のルール(公正競争規約)だそうな。

(ちょっと余談ですが、この「全国はちみつ公正取引協議会」という団体、過去に2007年に不正が発覚したとか、いろんな業界の甘い体質があったようです。)

 

この規約では、はちみつには、「はちみつ」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」「巣はちみつ」「巣はちみつ入りはちみつの5種類のはちみつがあり、それらをひっくるめ「はちみつ類」と呼ぶそうです。(関心のある方はこちらにPDFがあります。 )

おおっなんだか業界言葉っぽいですね。
そして、「はちみつ類」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」・・・なんだか怪しいぞ。

書いてある内容をまとめてみるとこんな感じ。(僕は元々理系なので、すぐ図にしたくなります)

蜂蜜規格(©)

 

なんだか気になるところがいくつかありますね・・・。

まず、はちみつ

「みつばちが 植物の花みつを採集し、巣房に貯え熟成した天然の 甘味物質。」
というのはなんとなくわかりますね。みつばちたちが頑張って集めてきたはちみつ。
水分量などの組成基準(成分)には、目安となる数値があるそうです。
(水分量についてはまた別のコラムで)

日本みつばち

ただ(6)には、「精製はちみつ又はロー ヤルゼリー、花粉、香料、果汁若しくはビタミンを 加えたものを含むもの

「加えたものを含むもの」??よくわからないのですが、いろいろ混ざってても「はちみつ」と呼べるのかもしれない…。
(その謎はまた次回)

 

次に、「精製はちみつ」と「加糖はちみつ」について

「精製はちみつ」とは、
はちみつを人工的に脱色・脱香し、おまけに、加工工程ではちみつが本来持っているビタミンやミネラル、タンパク質などを破壊されてしまい、甘味だけが残ったものです。昔は、「脱臭・脱色はちみつ」と言われていたそうです。

はちみつをそのまま清涼飲料水などに入れると、特有の匂いや濁りが出るので扱いにくく、昔からこの精製はちみつが清涼飲料水や食品加工に使われているそうな。

成分表示欄に「精製はちみつ」と表記されている商品は、商品名に「はちみつ入り」「○○はちみつ」っていうカタチで販売できるということで、よくドリンクで蜂蜜入りっていうのはこのはちみつのことですね。

「加糖はちみつ」とは、
はちみつに異性化糖液を加えたもので、はちみつの含有量が重量の60%以上のもの。
異性化糖液とは、食品加工用にトウモロコシやジャガイモ、サツマイモのデンプンから作られた糖液で、はちみつとは全く異なるものです。

要するにはちみつに人工的な糖液を混ぜ込んだものが「加糖はちみつ」だそうな。

この2つの「はちみつ」と言われているもの。
はちみつと言えるのかは何とも言い難いですね。

ちなみに、「精製はちみつ」や「加糖はちみつ」のように、加工されたモノを「はちみつ」と言っているのは、日本だけだそうです。

ということで、

うーん、蜂蜜への疑問がさらに湧いてきたかもしれませんね。

この大きな業界、奥が深いですね。
淡路島の小さな日本みつばち屋さんの私にはこの大きな業界のことはよくわかりません。

歯切れが悪いですが、今日はここまで!!
次回は、この続きをお届けします。

巣はちみつのこと、はちみつのこと。
じゃ、スーパーで目にする「はちみつシロップ」って何なんだ??

私たちはこれらのはちみつをどうやって見分けるのか?
ラベル表示についてももう少し深堀してみようと思います。また、よく「Pure」や「純粋」など、はちみつには同じような表現が多いと思うのですが、その理由について迫ります。
(果たして、次週で話が完結するのか…)

草地家のはちみつ

ゆきお