みつばち社会〜働き蜂⑤最初の仕事は掃除と温め〜

先週のコラムで書いたように、働き蜂は生まれてからの日数(日齢)に応じて、仕事(役割)が変わっていきます。

それは、働き蜂の体が、日が経つにつれて発達(変化?)していき、体の変化に応じて「できること」と「できなくなること」ができてくるのです。蜜蜂が、何千年~何万年かけて今の状態に進化してきた過程の中で、みつばちの体も変化してきたのかもしれませんね。

(少しわかりにくい表現なのですが、例えば、生まれて3日~10日目くらいは、ローヤルゼリーを生産できるのですが、それ以降になると生産できなくなる。といったかんじ。詳細はおそらく次週のコラムに掲載されます。)

巣の中では、みんなそれぞれ仕事をしています。

今週からは、働き蜂たちの仕事について詳しく見ていこうと思います。

最初のお仕事。

羽化したばかりのみつばちたちは、まだ体もできておらず、できる仕事が限られています。そのなかで、羽化してから3日くらいまでの最初の仕事はお掃除です。
(文献やWEBによっては、5日までと書かれていることもあるので、だいたい3~5日くらいだと思います。)

働き蜂は、自分が蛹から羽化して出たあとの空の巣房などの中にある、蛹から脱皮した皮や巣蓋などを徹底的にきれいに掃除します。

そして、無事に掃除が終わった巣房には女王蜂が新しく卵を産み付けるます。掃除が終わっていない巣房には卵を産まないそうです。

ちなみにどうやって掃除するんでしょうね。
きっと頑張って、ぺろぺろとなめ続けるのかなと思います。
(詳細は文献などでも確認することはできず…)

もう一つのお仕事は蛹を温める

あと、実はあまり知られていないのですが、蛹を温めるという作業もしております。

幼虫を正常に発育させるためには、育児圏の温度を一定に保つことが大切なことなのです。そのため、蜂児の温度を保てるように、羽化して間もない若き働き蜂たちは、女王蜂が卵を産み付けていない空の巣房の中に入って発熱して隣の巣房にいる蛹を温めてあげたり、育児圏の巣蓋の上に数匹が集まって発熱して温めたりしてるそうです。

蜂児たちと巣房

きっとこういう穴の隙間に入って温めているのだと。

この発熱方法は、みつばち特融の方法であり、みつばちの翅の付け根の胸部にある飛翔筋という筋肉を震わせ、エネルギーが発生して、それが熱に変わるそうです。ちなみに、このときは、一時的に飛翔筋を翅から外すので、羽ばたかないそうです。
(人間に例えると、とてもムキムキの人が、ただひたすら胸筋だけを動かしづつけると、そこから熱が発生するというようなイメージですね。)

「翅から外す」とはよくわからないと思いますが、参考にしている文献では、『翅は、飛翔筋に直接つながっておらず、外すことができます。』と書かれています。下図は参考文献を基に作成。
そして、ちなみに昆虫が飛ぶときに使う筋肉は、この飛翔筋と呼ばれるそうで、トンボやチョウなどは羽を筋肉で直接駆動させる『直接飛翔筋駆動』であり、ハチやハエなどは筋肉で胸部外骨格を振動させ間接的に羽を駆動させる『間接飛翔筋駆動』だそうです。

みつばちの飛翔筋

みつばちの断面図

そして、この熱を発生させる方法は、冬越しの時などに行われることで、また、いつかのコラムで詳しく書きますね。

ということで

今週はここまで。羽化から3日くらいまでの働き蜂のお仕事について書きました。そこから派生して、飛翔筋というマニアックな筋肉のことも学ぶことができました。
次回はまた別のお仕事を紹介します。

※みつばちの日数や行動内容については、参考文献やWEBサイトによって詳細は異なってきます。このコラムは、あくまで私自身が調べて、自分で納得のいく内容をまとめて作成しております。

参考文献
フォーガス・チャドウィック、2017、『ミツバチの教科書』、株式会社エクスナレッジ
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版ミツバチの一生:http://www.008720.com/mitubacilife.html
ミツバチの生態:http://mitubachi2012.web.fc2.com/page2-8.html