みつばち社会〜働き蜂⑥次の仕事は授乳・給餌〜

先週のコラムから、日本みつばちのお仕事を
孵化してから順を追って見ていっております。
前回のコラムで見たように、
生まれて最初に取り掛かる仕事は、巣の掃除と赤子の保温作業。
保温方法にびっくりでした。
隣の巣房や蓋の上から蜂肌で温めてるなんて、なんかちょっと可愛い。

掃除、保温、お次は授乳・給餌

さて、そんな彼女らが次に取り掛かる仕事が、授乳です。
えっ、さっき蛹から出てきたばかりなのでは?という気もしますが、彼女らが次に取り掛かるのは、孵化したばかりの幼虫に惜しみなくローヤルゼリー(姉妹ミルク)と呼ばれる栄養分を供給する作業なのです。

授乳を担うハチは、羽化後おおよそ5日〜15日の若い働き蜂。この時期は、ローヤルゼリーを生産するために大量の花粉を消費します。

ローヤルゼリー(姉妹ミルク)って何?

健康食品・栄養補助食品などのコーナーで見かけることのある「ローヤルゼリー」。
栄養価の高いイメージを持つものの、一体それが何なのかあまり知らない方も多いのではないでしょうか。
ローヤルゼリーとは、若い働き蜂が作り出し、卵から生まれてからみつばちの幼虫が3日間程度、女王蜂が一生涯食べる高栄養価な特別食。

「ミツバチの幼虫は卵から孵化して楽園に到着する」(丸野訳,Tautz,2010)と言われたりするように、羽化するとすぐに与えられ、プールのように浸かることになるのが、ジュース状の高栄養価な食料「ローヤルゼリー」なのです。

ローヤルゼリーに浸かる幼虫たち

そしてそんなローヤルゼリーを作るのは、幼虫たちの母である女王蜂ではなく、姉妹たち。そのため「姉妹ミルク」とも呼ばれます。
素材は花粉と蜂蜜。みつばちが、これらを体内で分解・合成したクリーム状のものが「ローヤルゼリー」です。

ローヤルゼリーは、みつばちにとってミルクにようなもの。主成分は脂肪酸で、色合いもほんのり白っぽく、指先につけて舐めてみるとコッテリとした風味の液体です。

食べ物で変わる身体

幼虫期に与えられるものがローヤルゼリーのみで、花蜜や花粉へと変化しない場合には、幼虫は女王蜂へと成長を遂げていきます。
そう、実は女王蜂か働き蜂かを決めているのは、実は生まれてからの食料なのです。
もちろん、群れが計画的に女王を作り出す場合には、「王台」と呼ばれる女王蜂専用のベッドルームが作られ、そこで出産・育児が行われます(与えられるものはローヤルゼリーのみ)。
しかし、不幸なことがあって女王蜂が死んでしまった場合には、働き蜂の幼虫にローヤルゼリーを与え続けて、女王を製造することも行われるのです。
働き蜂か女王蜂か、その分岐は生まれながらではなく食にあったのです。

授乳から離乳食へ

そんなミツバチが幼虫期に消費する姉妹ミルクは25mg。
生まれてから3日間はすべての幼虫にこのミルクが与えられますが、働き蜂の幼虫は3日がすぎると、与えられるものに含まれる成分が変化していきます。姉妹ミルク100%だったのが、徐々に花粉と蜜が混ざるようになり、最後の齢になると完全にミルクから、花粉や花蜜、蜂蜜へと切り替えられるようです。
なんだかまるで、ミルクから離乳食、幼児食への変化みたいですね。
実際、この姉妹ミルクは哺乳動物の母乳と同じく、免疫力を高める効果を持っています。
幼虫の時期、細菌感染の経路として腸管からの病原体の侵入が挙げられるのですが、姉妹ミルクを摂取することによって、腸管内に入った細菌に対して免疫防御力が発揮されるのです(丸野内訳,Tautz,2010)。

ワーカーゼリー?

3日目まで働き蜂も与えられる姉妹ミルク(ローヤルゼリー)、
実は女王候補と働き蜂の幼虫とでは質に違いがあるのです。

以前、みつばち社会~女王蜂①女王の誕生~でも少し触れましたが、
働き蜂の幼虫用のものは「ワーカーゼリー」とも呼ばれており、ローヤルゼリーではあるものの、女王用に比べると成分の薄いものが与えられているそう。

そして、女王に成るか、働き蜂になるかの分岐点は、ローヤルゼリーを与えられる期間だけではなく、
この姉妹ミルクの組成の違いも影響していると言われております。
組成の中でも、重要なのは「甘味」で、ローヤルゼリーのうち、重量の35%が六炭糖成分だと女王蜂になり、10%では働き蜂になるのだとか(丸野内訳,Tautz,2010)。

雄蜂への扱いはさらに雑?

 

ずんぐりむっくりとした見た目が可愛らしい雄蜂。
他の姉妹たちと比べて体が大きい分、食事量も多いそう。かわいいですね。
働き蜂と同じく3日目までは同じくワーカーゼリーを与えられ、以降は花粉や蜜が混ざったものを与えられるようになるのですが、どうやらワーカーゼリーを与えられている孵化後3日程度の時点ですでに花粉や蜜の混入率が働き蜂に比べて多いようです。
ワーカーゼリーというか、ドローンゼリーとも呼ばれているそう。
働き蜂の方が良いものを食べてるってことかしら。

摂取期間とグレード

ところで一体どこから出してるの?

「授乳」といっても、乳房があるわけではありません。
頭部に「姉妹ミルク」を分泌する腺(下咽頭腺と大顎下腺の)があり、それを、大顎の内側にある腺(大顎腺基部の内側の閉口部)から溢れさせ、顎の先端部に集めて幼虫のいる巣房へと詰め込みます。
これらの腺は、姉妹ミルクを作らなくなったハチでは機能が退縮しているのですが、諸所の理由から再度生産する必要が出てくると、再活性化されるのだとか。
基本的には若いみつばちだけが作るけれど、必要になれば再度作れるようになるなんて、動物社会でもある現象で、なんだか親近感がわきますね。

ただし、外勤を経験した日本みつばちでは、作り出す成分に変化が起きているようです。西洋ミツバチは、外勤経験後もローヤルゼリーの中に含まれる主成分に変化が見られないのに対し、日本みつばちでは、日齢(分業)によって大顎腺成分に変化が起きているみたいですよ。

外勤を経ると変わる主成分

ローヤルゼリー特有の成分であると考えられている不飽和脂肪酸hydroxy-42-decenoic acid(10-HDAと略される)は、Royal Jelly Acid(ローヤルゼリー酸)とも呼ばれています。
外勤蜂化する前は、日本みつばちも西洋ミツバチも10-HDAと10-hydroxydecanoic Acid(10-HDAA)を主成分として生合成するのですが、外勤を担当するようになると、日本みつばちのローヤルゼリー主成分は10-HDAAとなり、10-HDA(ローヤルゼリー酸)は主成分というほどは作られなくなるのです(西洋ミツバチは、外勤蜂化しても主成分は変わりません)。(篠田雅人,中陳静男,1984松山 茂 , 鈴木 隆久 , 笹川 浩美,1998を参照)

 

今日はここまで

今回は、働き蜂の給餌という仕事を見ていきました。
若い蜂たちは蜜や花粉を食べてローヤルゼリーを作り出し、さらに若い妹たちを育てているのですね。
与えられる成分にも女王蜂か働き蜂か雄蜂なのかで違いがあったり、外勤を経験した高齢の蜂だと出せるローヤルゼリーの成分に違いがあったり。
給餌係と言っても、いろいろなことが起きていますね。
さて、給餌係の次はどんなお仕事が待っているのでしょう。
次回もどうぞお楽しみに。

 

参考文献・URL

山田養蜂場
http://honey.3838.com/lifestyle/tanjyou.html

松山 茂 , 鈴木 隆久 , 笹川 浩美,G125 ニホンミツバチApis cerana japonica Rad.の情報化学物質 : ローヤルゼリー中の遊離脂肪酸と働き蜂および女王蜂の大顎腺成分(生理活性物質),1998

http://ci.nii.ac.jp/els/contents110001089377.pdf?id=ART0001245890

篠田雅人,中陳静男,「ローヤルゼリー酸の生物化学」,1984
http://id.nii.ac.jp/1240/00000053/

はい、やっこです!!
http://cerana.blog.fc2.com/blog-entry-140.html

ローヤルゼリー効果効能.com
http://ローヤルゼリー効果効能.com/index.html

丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

 

みつばち社会〜働き蜂⑤最初の仕事は掃除と温め〜

先週のコラムで書いたように、働き蜂は生まれてからの日数(日齢)に応じて、仕事(役割)が変わっていきます。

それは、働き蜂の体が、日が経つにつれて発達(変化?)していき、体の変化に応じて「できること」と「できなくなること」ができてくるのです。蜜蜂が、何千年~何万年かけて今の状態に進化してきた過程の中で、みつばちの体も変化してきたのかもしれませんね。

(少しわかりにくい表現なのですが、例えば、生まれて3日~10日目くらいは、ローヤルゼリーを生産できるのですが、それ以降になると生産できなくなる。といったかんじ。詳細はおそらく次週のコラムに掲載されます。)

巣の中では、みんなそれぞれ仕事をしています。

今週からは、働き蜂たちの仕事について詳しく見ていこうと思います。

最初のお仕事。

羽化したばかりのみつばちたちは、まだ体もできておらず、できる仕事が限られています。そのなかで、羽化してから3日くらいまでの最初の仕事はお掃除です。
(文献やWEBによっては、5日までと書かれていることもあるので、だいたい3~5日くらいだと思います。)

働き蜂は、自分が蛹から羽化して出たあとの空の巣房などの中にある、蛹から脱皮した皮や巣蓋などを徹底的にきれいに掃除します。

そして、無事に掃除が終わった巣房には女王蜂が新しく卵を産み付けるます。掃除が終わっていない巣房には卵を産まないそうです。

ちなみにどうやって掃除するんでしょうね。
きっと頑張って、ぺろぺろとなめ続けるのかなと思います。
(詳細は文献などでも確認することはできず…)

もう一つのお仕事は蛹を温める

あと、実はあまり知られていないのですが、蛹を温めるという作業もしております。

幼虫を正常に発育させるためには、育児圏の温度を一定に保つことが大切なことなのです。そのため、蜂児の温度を保てるように、羽化して間もない若き働き蜂たちは、女王蜂が卵を産み付けていない空の巣房の中に入って発熱して隣の巣房にいる蛹を温めてあげたり、育児圏の巣蓋の上に数匹が集まって発熱して温めたりしてるそうです。

蜂児たちと巣房

きっとこういう穴の隙間に入って温めているのだと。

この発熱方法は、みつばち特融の方法であり、みつばちの翅の付け根の胸部にある飛翔筋という筋肉を震わせ、エネルギーが発生して、それが熱に変わるそうです。ちなみに、このときは、一時的に飛翔筋を翅から外すので、羽ばたかないそうです。
(人間に例えると、とてもムキムキの人が、ただひたすら胸筋だけを動かしづつけると、そこから熱が発生するというようなイメージですね。)

「翅から外す」とはよくわからないと思いますが、参考にしている文献では、『翅は、飛翔筋に直接つながっておらず、外すことができます。』と書かれています。下図は参考文献を基に作成。
そして、ちなみに昆虫が飛ぶときに使う筋肉は、この飛翔筋と呼ばれるそうで、トンボやチョウなどは羽を筋肉で直接駆動させる『直接飛翔筋駆動』であり、ハチやハエなどは筋肉で胸部外骨格を振動させ間接的に羽を駆動させる『間接飛翔筋駆動』だそうです。

みつばちの飛翔筋

みつばちの断面図

そして、この熱を発生させる方法は、冬越しの時などに行われることで、また、いつかのコラムで詳しく書きますね。

ということで

今週はここまで。羽化から3日くらいまでの働き蜂のお仕事について書きました。そこから派生して、飛翔筋というマニアックな筋肉のことも学ぶことができました。
次回はまた別のお仕事を紹介します。

※みつばちの日数や行動内容については、参考文献やWEBサイトによって詳細は異なってきます。このコラムは、あくまで私自身が調べて、自分で納得のいく内容をまとめて作成しております。

参考文献
フォーガス・チャドウィック、2017、『ミツバチの教科書』、株式会社エクスナレッジ
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版ミツバチの一生:http://www.008720.com/mitubacilife.html
ミツバチの生態:http://mitubachi2012.web.fc2.com/page2-8.html

 

みつばち社会〜働き蜂④キャリアパス(日齢分業)〜

さーて、今回は「働き蜂のお仕事」がテーマです。
みなさんご存知の通り、働き蜂はハードワーカー。
その名の通り、生まれてから死ぬまで働いている超・働き者です。
ここまで読んでいる方は承知の通りですが、もちろん全てメスの蜂たち。
コロニーの95%以上を占め、細かく見ていけば約20種類の仕事を分担しているといわれる彼女らの生涯。
生まれてから死ぬまで、どんなキャリアパス(日齢分業)を歩んでいるのか見ていきましょう!

0日目〜4日目 内勤:若バチ期

21日で卵から幼虫、さなぎへと変化し、そして羽化する働き蜂。
羽化して成虫になると早速お仕事が始まります。
若バチ期と呼ばれる時期の、幼い彼女らが初めて取り組む仕事は、
巣房の掃除やロイヤル・コートと呼ばれる女王蜂の発するフェロモンを受け取る集まりに参加するのもこの時期。

群れのミツバチで覆えるくらいが巣の適正サイズ。しっかりお掃除ができることで、病気から群れを守るのです。

4日目〜10日目 内勤:育子期

そして若バチ期から育子期にかけてのお仕事は、
巣室の蓋がけや幼虫への給餌、巣内への送風、
そして徐々に飛行の練習が始まります。

風を送って貯めた蜜を乾かす。この羽ばたきも、飛行のための練習になるのだとか。

10日目〜20日目 内勤:内役期

練習飛行の傍ら、巣の修理や外勤バチからの蜜の受け取り、
スズメバチなどの外敵を警戒して目を光らせる門番役、
そしてちょっとづつ外へと働きに出かけていくようになっていきます。

20日目〜36日目 外勤:外役期

羽化から20日を過ぎると、外での仕事に移り変わっていくようです。
花粉集めや蜜集めに出かけているのはこの時期の蜂が多いようですね。

草地家のみつばち

足には花粉団子をつけて帰ってきたりも

マイクロチップを埋め込んで観察した研究によると、1日に10往復以上するような熱心な個体もいれば、2〜3往復程度の怠惰な個体もいたりと、働き蜂とはいえ性格もいろいろあるそうですよ。
(私たち人間も、彼らと関わる際に、この群れは警戒心が強いとか、穏やかだとか、そういう違いはわかるけど、怠惰だとか熱心だとかはまだ分からないなぁ。いつか分かるようになるかしら。)
働き蜂の生涯がせいぜい4週間程度であることを思うと、人間でいえば50〜80歳くらいといったところでしょうか。
いや、あまり動かない冬季には6ヶ月ほど生きることを思うと、働き盛りで、体力充分、という感じなのか?

日齢分業なミツバチの生き方

働き蜂は名前の通り、一生涯の中で様々な仕事を次々こなしていきます。
子育て、掃除に始まり、巣作り、女王蜂の世話係り、死骸捨て、門番、そして餌集めへと
どんどん仕事が変わっていく、そんな働き蜂の一生。

ミツバチたちは、どうして生まれた日数とともに仕事が変わっていくスタイル(日齢分業)なんだろうか。
生まれて、ちょっとづつ社会のこと、世界のことがわかってきて、そして外の世界へと危険を顧みず働きに出かけていく。体の使い方も、警戒の仕方も、ちょっとづつ分かってきたからこそ遠くまで働きに出かけれらるんだ。
そんな風にも考えられるし、
若いうちは、若さゆえにローヤルゼリーや蜜ろうの分泌が盛んな時期だからどんどん分泌して、年老いて枯れてきたら肉体労働に回りなさいよ、力尽きて死んだらそこまでよ、という判断なのか。
両方ある気もするけど、後者の要素が強いような気も。。
社会性昆虫であるミツバチたちの世界、面白いなぁ。

草地家のみつばち

ということは、採蜜に出かけるこの子たちはおばちゃん、お婆ちゃん世代なのか。

さて、今回は働き蜂の日齢分業について見てみました。
次はさらに詳しく、働き蜂の仕事の現場を見ていく予定です。
みつばちの世界について、ちょっとづつ分かっていくのが私たちにとっても楽しいコラム、
次週も楽しみです。

参考文献
フォーガス・チャドウィック、2017、『ミツバチの教科書』、株式会社エクスナレッジ
菅原道夫、2005、『ミツバチ学』、東海大学出版会
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

みつばち視察〜東近江市編〜

8月1日の朝来市での視察を終えて、次に向かったのは滋賀県東近江市。
(みつばち視察~朝来市編~はこちら

ということで、視察から1ヵ月過ぎてしまましたが、みつばち視察2日目、東近江市編のレポートです。

滋賀県東近江市で日本みつばちを飼っているのは、はちみつ・みつばち大好きの比嘉さん。約1年前に、大阪駅近くのはっちというはちみつとフリーペーパーのお店で、はっちのメンバーである比嘉さんが主催したみつばちイベントに参加して出会いました。

その後もUmekikiMarcheなどでお世話になりまして、みつばちの現場を見に行きたいですという話をしていたのが、やっと今回実現しました。

 

東近江市愛東地区にある百済寺というお寺の敷地内で、日本みつばちを飼っているということで、案内していただきました。

百済寺は、今から約1400年前に聖徳太子が百済人のために建てたと言われている、とても歴史あるお寺なのです。立派なお寺やお庭をその歴史を踏まえて案内していただいたのですが、写真を撮るのを忘れておりました。

巣箱が置いてある場所へ向かうと、「ごうら」と「重箱式」の2つの巣箱。

「ごうら」は初めて見ました!!ちょっと感動。

「ごうら」は丸太の中をくりぬいて作る巣箱で、日本でもっとも古くから使われている巣箱だと言われています。

日本みつばち 日本みつばち

日本みつばち ごうら

ごうらの巣箱

日本みつばち ごうら

小さな入り口からはたくさんのミツバチが行き来していました。

さらに、写真ではわかりにくいかもしれませんが、ここには自然巣もありました。
実は1枚目の写真の真ん中の木(重箱巣箱の右)の洞のところで、みつばちたちが行き来しているのです。木の洞にできている自然巣は始めてい見たので、またまた感動。

 
日本みつばち自然巣

木の洞にできた自然巣

また、みつばちを通じた環境学習などの取り組みについても教えていただきました。
現在、比嘉さんは、幻の銘酒『百済寺樽』復活プロジェクトを進めており、こちらのプロジェクトにも注目です。

 

これで、今回の2日間の視察は終了。
とても勉強になった2日間でした。

みつばち社会〜働き蜂③蜜蝋を生み出す体〜

みつばちは、巣箱のなかで(もしくは自然界では木の洞の中などで)、蜜蝋を作り、その蜜蝋を使って、ハニカム構造の集合体である巣を作ります。それは、見ての通り寸分の狂いもなく、とても美しいものです。

日本みつばちの巣 日本みつばちの巣

蜂の巣とみつばち 

今回は、その蜜蝋は、体のどこからできているのか、ということを書いていきます。

みつばちの体

これまで2週に渡り、みつばちの体について書いてきました。
外観は見ての通りふわふわのもふもふ。(ルックスについてはこちら

みつばちのルックス 

体の中には蜜胃があり、肢には花粉をつける花粉かごがあり。(体の構造についてはこちら

この体のどこに蝋ができる場所があるのか??

実は、この腹部の後ろあたりに4対で8つの分泌腺(ワックス腺や蝋腺と呼ばれる)があり、そこから蝋が作り出されるのです。ちなみに、蝋が作り出されるお腹の部分は「ワックスミラー」と呼ばれています。ちょっとかっこいい名前です。

みつばちのお腹

分泌されたときは液体ですが、分泌後はすぐに固まり、蝋片と呼ばれる1mmくらいの大きさの透明な鱗状のモノになります。イメージはこんな感じです。

蜜蜂の体からできる蜜蝋

出来立ての蜜蝋は透明で白っぽいのです。
花粉の色素が付着したり、子育てをして、幼虫の脱皮した皮や排泄物が付着することで、黄色く変色したり、強度も増していきます。

 

みつばちは、この分泌した蝋片を後ろ足の節にひっかけて、口元まで運んできます。
そして、大顎でこねられて、大顎線の分泌液と混ざり、みつばちが扱うの適した粘度に調整されるそうです。言い換えると、ガムのように口の中で噛み続けて、唾液と混ぜ合わせながら、柔らかくしているということですね。

みつばちの驚くべき特性。すごいです。

参考にしている文献ではこのように書かれています。人間に例えるとおもしろいです。

これは手工業者に例えると、彼は肋骨の間に、建築素材を汗のように絞り出し、その特徴を顧客の要望を満たすように変えることさえできるのである

引用:丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

 

巣を作るにはどれくらい必要なの?

働き蜂が鱗状の蝋片(蜜蝋)を調整するのに約4分かかると言われています。

そして、この蝋片(蜜蝋)100gで約8,000の巣房を作ることができるそうで、その8,000の巣房を作るためには、125,000の蝋片が使われるそうです。(巣房・・・六角形のハニカムの1つのこと)

よくわからない個数になってきましたね。

ちなみに、中ぐらいの規模の巣の巣房数は、約100,000個だそうで、そのためには、蜜蝋は1,250g必要になり、ということは、1,562,500個の蝋片が必要になるとか・・・。

みつばちはすごい!!

もう、よくわかりません。

 

そして、蜜蝋を作り出すためには、大量のはちみつが必要であり、はちみつ10gに対して、たった1gだけ蜜蝋が分泌されるそうです。

 

作り出せるみつばちは限られている

巣の中で、蝋片を作り出して、巣を作っていくみつばちたち。
実は、この分泌腺から蝋片が体から出るのもピークがあって、参考にしている本では、羽化12日~18日で性能が頂点に達し、その後退化する。と書かれています。
(これは参考にする書物などで違うので、正確な日数などはわかりません。)

 

みつばちのお仕事についてはまたの機会に。
というところで、今回はこれでおしまいです。

参考

丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

山田養蜂場ミツバチ研究支援サイト:https://www.bee-lab.jp/hobeey/hobeeydb/db01/hobeey01_12.html#ac02