かきものCOLUMN

みつばち社会~女王蜂③フェロモンでメロメロ~

  • 2017.07.12
  • by Yukio

今回は、女王蜂のフェロモンのお話。

以前、みつばちコラムで、みつばちは「社会性昆虫」であるというお話を書きました。
みつばちたちの社会では、1つの集団を作り、女王蜂が1匹、働き蜂が数千〜数万、生殖の時期には雄蜂が2,000~3,000匹が、階級社会の形成して、維持しているという社会です。これはみつばちのカーストとも呼ばれます。(詳しくは日本みつばちの社会〜プロローグ〜を参照)

この社会を形成して、維持できているのは、女王蜂の大顎線(おおあごせん)というところから分泌される「9-オキソデン酸」を主成分とする女王物質と呼ばれるフェロモンがあるからなのです。

9-オキソデセン酸

学者さんの世界ではこのように示されるそうです。私には、何が何なのか全くわかりません。

 

フェロモンによる影響

この女王物質が働き蜂と雄蜂にそれぞれとても大きな影響を与えます。

働き蜂にはこんな効果が。

●働き蜂の卵巣の発達を抑制する
働き蜂もメスなので卵を産むことができます。ただ、この女王物質によって、卵を産むことができない状態になっています。そして、働き蜂としての労働を促すのだと。
(実は、働き蜂も卵を産む機会があるので、またそれは別の機会にご説明します。)

●王台を作らせないようにする
女王蜂自身が、「私はまだまだ元気だから、新しい女王はいらないよ。」っていうことで。まだ新女王のため王台を作らせないのです。逆に言えば、それは、今の女王がいる群れが安泰っていうことを示しています。

雄蜂には

前回のコラムで書いた空中で雄蜂と交尾に出かけた際に、雄蜂を引き寄せるためのにおい物質として発散して、雄蜂を誘引するための性フェロモンとしての機能もあるそうです。

 

フェロモンはどうやって伝わるの??

女王蜂は常に、たくさんのお付きのみつばちたちに囲まれて暮らしています。そのお付きのみつばちたちが女王の体をなめて、触覚で触れて、女王物質であるフェロモンを受け取ります。

その後、女王フェロモンのついた働き蜂たちが、ほかの働き蜂たちと口移しで蜜を交換したり、接触することで、働き蜂全体にフェロモンが広がっていきます。フェロモンが行き渡ることで、女王蜂の存在やその状態についての情報が伝わっていくのです。

フェロモンの効き目が…

女王蜂も年老いていくと、女王物質が分泌量が少なくなったり、分泌できなくなったりなっていきます。そうなれば、実は、群れのなかでは一大事なのです。

働き蜂たちは女王フェロモンの魔法が解けるのです。魔法が解けた働き蜂たちは、卵の数が少ないことに気づき、このままでは群れ全体が存続の危機であるということに気づくのです。そして、新しい女王を迎えるための王台を作り始めるのです。新しい女王が生まれれば、今いる年老いた女王は追い出されてしまいます…。

また、群が大きくなり過ぎると、群れ全体に女王物質がいきわたらないことがあります。その時もまた、新しい王台ができて、新女王が生まれる前に、現女王は働き蜂を半分連れて、自ら巣を離れていくのです。(分蜂についてはこちら

 

※参考 女王物質(フェロモン)とローヤルゼリーの関係
このページによると、働き蜂が作るローヤルゼリーの中には、女王物質の成分も含まれているということで、女王蜂が出した女王物質は、女王が食べる食事(ローヤルゼリー)を介して、また女王に返送されるということです。女王物質は、女王蜂と働き蜂の間でぐるぐると循環しているそうです。

参考URL:http://www.setsunan.ac.jp/~p-tennen/HTML-file/kenkyu/kenkyu-bottom1/kenkyu1.html

 

これで終わり

今日はフェロモンのお話でした。フェロモンって目に見えないし、どちらかといえば香りの世界が近いかなと思います。ただ、香りであっても、私たちには、みつばちの出しているフェロモンがどんなものなのか、っていうのは感じることはできません。本を片手に、WEBで調べながら、少しでもわかりやすくと思い書いていました。ただ、やっぱりどうしても文字が多くなってしまいます。なので、最後に自作のみつばちのイラストを載せてみました。(このコラムの内容とは関係ありません。)
はち

参考文献
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版
坂本文夫、2016、『ハチ博士のミツバチコラム』、京都ニホンミツバチ研究所

新型コロナウィルス感染症対策について